2026年4月11(土)、上野の国立西洋美術館で6月14日(日)まで開催予定の企画展『北斎 冨嶽三十六景 井内コレクションより』に行ってきました。
江戸時代を代表する浮世絵師『葛飾北斎(1760〜1849年)』。代表作『冨嶽三十六景』は、北斎が70歳を過ぎた1830年代に手がけた風景版画シリーズです。
その名の通り、当初は36図で構成されていましたが、人気を受けて10図が追加され、現在では全46図が知られています。
本展は、その全シリーズを一挙に観ることができる貴重な機会。
特に、自分たちにゆかりのある場所が描かれた作品には、思わず見入ってしまいました。
さらに、摺り違いの比較展示や、普段はなかなか目にすることのない『裏面』の展示など、作品理解を一歩深めてくれる工夫も印象的です。
ぜひ、ベロ藍が生み出す“北斎ブルー”の青い海に、どっぷりと浸ってみてください。
本記事では、実際に訪れて印象に残った見どころや混雑状況、バリアフリー情報などを、べたきちの視点でご紹介します。
北斎や浮世絵、富士山が好きな方はもちろん、普段は絵画鑑賞に馴染みのない方、日本文化を愛する全ての方におすすめです。
他のミュージアムの記事、浮世絵の記事、上野の記事、障がい者割引の記事はこちら。
※トップ画像は、No.3《凱風快晴(がいふうかいせい)》通称“赤富士”
※写真撮影が可能。ただし動画撮影、フラッシュ、自撮り棒や三脚などの使用は不可。
※訪問前は国立西洋美術館公式サイトで最新の情報を確認してください。
※記事内の価格・情報は、訪問当時のものです。

(エレベーターもあり)

アクセス・ベビーカー・車いす貸出
会場へは、最寄りのJR「上野駅」公園口から徒歩すぐ、バリアフリーでアクセスできます。
べたきちは、今回も車いすをお借りして観覧しました(感謝)。
詳細は、『印象的展(過去記事)』をご覧ください。
料金・障がい者割引
料金
| 当日券 | |
| 一般 | 2,200円 |
| 大学生 | 1,300円 |
| 高校生 | 1,000円 |
| 中学生以下 | 無料 |
※本展は日時指定制ではありません。
※当日に限り、本展の観覧券で同時開催の企画展「チュルリョーニス展 内なる星図」、常設展も観覧できます。
※学生の方は、学生証を忘れないように。
障がい者割引
障がい者手帳保持者とその付添者1名まで、無料で入館できます。チケット売り場ではなく、直接入口へ向かってください。
対象となる手帳は次の4種類です。
- 身体障がい者手帳
- 療育手帳
- 精神障がい者保健福祉手帳
- 被爆者健康手帳
入口にて、上記の障がい者手帳、または障がい者手帳アプリ「ミライロID」を提示してください。
混雑状況・所要時間など
混雑状況

適度な混み具合
夜間開館日である土曜日の、17時00分頃に入館しました。
会場では、壁沿いにゆっくり進む形で観賞しました。
日中のピークを過ぎていたこともあり、全体としては比較的落ち着いた雰囲気で、無理なく観て回ることができました。
ただし、スタッフの方によると、少し前の時間帯までは混雑していたとのこと。時間帯によって状況は大きく変わるようです。
伺った混雑の傾向は次の通りです。
- 朝は特に混みやすく、80人ほど並ぶこともある
- 平日は15時30分以降になると落ち着いてくる
- 閉館間際は比較的空いていて狙い目
- 夜間開館は全体的におすすめ
金曜日と土曜日は20時まで開館しているため、夜間が狙い目の時間帯です(最終入場は19時30分)。
特に車いすユーザーの方は、混雑を避けやすい平日や夜間の来館の方が、より安心して鑑賞できると感じました。
なお、会期末が近づくにつれて混雑はさらに激しくなることが予想されます。
これから訪れる方は、できるだけ早めの来館をおすすめします。
所要時間
『冨嶽三十六景展』だけで、17時05分から17時55分まで、約50分かけて観覧しました。
他の観覧者の流れに沿って進んだ結果ですが、私たちにはちょうどよいペースだったと感じています。
同時開催の『チュルリョーニス展』もしっかりと観覧される方は、2〜3時間はかかると思います。
ゆっくり鑑賞したい方や日中に訪れる方、特設ショップにも立ち寄る場合は、もう少し余裕をもって時間を見ておくと安心です。
バリアフリー情報
会場は地下3階にありますが、車いすでもエレベーターで問題なくアクセスできます。
館内は全体的に平坦で、バリアフリー対応もしっかり整っています。
各階への移動も、スタッフの方がバリアフリールートを丁寧に案内してくださるため、初めてでも迷う心配はありません。
ただし、浮世絵は立った人の視線の高さに展示されているため、車いすの目線からはやや見づらい場面もありました(上の写真を参照)。
そのため、べたきちは必要に応じて立ち上がりながら観覧しました。
べたきち的見どころ

べたきちが特に印象的だった作品を、いくつか紹介します。数字は作品リストの番号です。
“北斎ブルー”に溺れる!《No.1&2 神奈川沖浪裏》



摺りを比較できるのが醍醐味!
やはり1番の見どころは、“グレート・ウェーブ”として世界的に知られる『神奈川沖浪裏(かながわおきなみうら)』。
これまでべたきちは、『五大浮世絵師展(過去記事)』や『HOKUSAI展(過去記事)』で実物を観たことがありますが、2点を同時に見比べる機会は今回が初めて。
摺りの違いによる表現の差を比較できるのは、非常に興味深い体験でした。
さらに今回は、普段なかなか目にすることのない『浮世絵の裏面』まで観覧できるのもユニークなポイントです。
『葛飾北斎』や『葛飾応為』、そして当時の人々が見ていたであろう『裏面』に触れることで、江戸時代の暮らしに思いを馳せました。
加えて、4月21日(火)からは3点目の『神奈川沖浪裏』も追加展示されているとのこと。
まだ実物を観たことがない方は、この機会にぜひ。
なお、『神奈川沖浪裏』の制作方法については、『印刷博物館(過去記事)』《浮世絵版画のできるまで》で紹介しているのでご覧ください。

構図は同じ!《赤富士・青富士・山下白雨》


富士山の天候は変わりやすい!
『凱風快晴(がいふうかいせい)』の色違いである2点、通称“赤富士”(トップ画像)と“青富士”を並べて観られるのも、本展の大きな魅力です。
同じ構図でありながら、色彩の違いによって受ける印象は大きく変わります。
さらに、天候の異なる『山下白雨(さんかはくう)』も合わせて見比べることで、同じ構図でもここまで表現が変わるのかと驚かされました。
旅行で訪問!《No.17 信州諏訪湖》

べたきち夫婦が、2025年夏に訪れた長野県。
その途中で立ち寄った諏訪湖を描いた『信州諏訪湖』が展示されていたため、印象に残りました。
実際に訪れた場所が作品として目の前に現れると、鑑賞の楽しさもぐっと深まります。
ちなみに、私たちが訪れた際には、諏訪湖から富士山を拝むことはできませんでしたが(笑)。
山中湖への道!《No.19 甲州三島越》

『甲州三島越』は、現在の静岡県と山梨県の県境にある『籠坂峠』付近から、富士山を眺めた作品だと考えられています(出典:すみだ北斎美術館)。
御殿場から山中湖へ向かう際に通るこの『籠坂峠』は、べたきち夫婦にとっても幾度となく通った懐かしい道。
車であれば気軽に越えられる峠ですが⋯、歩いて峠越えをしていた方々の健脚ぶりには感嘆します。
ちなみに、山中湖畔に佇むカフェ『ペーパームーン(過去記事)』は、おすすめ。ぜひ立ち寄ってみてください。

近所!?《浅草寺・日本橋等など》




聖地巡礼も楽しい!
『東都浅草本願寺』、『江戸日本橋』、『隅田川関屋の里』など、べたきちにとって“近所”とも言える場所を描いた作品もまた、印象に強く残りました。
今では、東京スカイツリーの展望台のような高所から、快晴の日にようやく望める富士山。
江戸時代は、建物の高さも低く、空気も今より澄んでいたと考えると、富士山を目にできる機会は、現在よりもずっと多かったのかもしれません。
とはいえ、作品の中でひときわ大きく描かれた富士山には、北斎の“富士山への憧れ”や理想の風景が、色濃く反映されているように感じられます(関連記事:『映画「おーい、応為」)。

富士はどこ!?《No.48 諸人登山》


べたきちにとって唯一の富士登山
『諸人登山(しょじんとざん)』は、『冨嶽三十六景』の中で唯一、遠景に富士山を望む構図ではなく、富士登山に挑む人々の姿そのものを描いた作品。
解説によると、ここに登場するのは『富士講(ふじこう)』と呼ばれる、富士山信仰の巡礼者たち。
現在でも、富士山の信仰は世界文化遺産の重要な構成要素の一つとされており、本作からは当時の信仰や人々の営みが感じられます(参考:世界遺産 富士山とことんガイド)。
この作品を見ていると、べたきちが病気になる前、2012年の夏に富士山へ登った記憶がよみがえります。
悪天候の中、死に物狂いで登ったあの体験は、今でも忘れられません。寒かった!辛かった⋯!
現代は装備が整っているとはいえ、それでも大変な富士登山。当時の人々の苦労は、想像以上だったのでしょうね。
ちなみに、健脚のべた妻は、これまでに7回も富士登山をしています(笑)。
北斎を真似た作品!?《チュルリョーニス展》

北斎の影響!《第5ソナタ:フィナーレ》

“グレートウェーブ”と似てる!?
『冨嶽三十六景展』と同時開催されている『チュルリョーニス展』。
『ミカロユス・コンスタンティナス・チュルリョーニス(1875〜1911年)』は、画家であり作曲家でもある、リトアニアを代表する芸術家です。
解説によると、『第5ソナタ(海のソナタ):フィナーレ』は、葛飾北斎の『神奈川沖浪裏』の構図などを参考にしたと考えられているそうです。
北斎好きな方は、特に見逃せない展示です。
最後に

2025年12月べた妻撮影
『冨嶽三十六景』の魅力を、あらためて多角的に味わえる見応えのある展覧会でした。
摺りの違いによる表現の変化や、裏面の公開といった工夫によって、浮世絵版画の奥深さをより実感できました。
さらに、自分たちにゆかりのある風景と重ね合わせながら鑑賞できたことも、印象に残る体験でした。
北斎の憧れた、富士山の多彩な表情に触れ、その魅力を改めて感じられる機会です。
まだまだいっぱい見どころはあるので、ぜひ現地で個人的見どころを発見してください!
また、観賞後には、歴史を感じながら、谷根千散策もしてみてくださいね。
ぜひ他のミュージアムの記事、浮世絵の記事、上野の記事、障がい者割引の記事もご覧ください。

開催情報
| 名称 | 『北斎 冨嶽三十六景 井内コレクションより』 |
| 会期 | 2026年3月28日(土)〜6月14日(日) |
| 開館時間 | 9時30分〜17時30分 ※毎週金・土曜日は20時まで (入館は閉館の30分前まで) |
| 休館日 | 毎週月曜日、5月7日(木) [ただし、5月4日(月・祝)は開館] |
| 入場料 (当日券) | 一般:2,200円、大学生:1,300円、高校生:1,000円 中学生以下は無料 障がい者手帳保持者とその介助者(1名まで)は無料 |
| 会場 | 国立西洋美術館 企画展示室地下3階 |
| 所在地 | 〒110-0007 東京都台東区上野公園7番7号 |
| 公式URL | https://www.nmwa.go.jp/jp/ |
最後までお読みいただきありがとうございました。ソークディー!










