2026年10月17日(土)、新宿にある文化学園服飾博物館で2026年11月21日(土)まで開催予定の展覧会『世界の刺繍をめぐる旅』に行ってきました。
『刺繍』とは、針と糸を使って布などに模様や絵柄を縫い表す装飾技法のこと。
衣服の装飾などに用いられ、模様や色彩には地域や民族の文化、信仰、願いなどが込められることもあります。
本展では、日本、アジア、ヨーロッパ、アフリカなど、世界約40ヶ国のとても素敵な刺繍の数々に出会えます。
代々受け継がれてきた民族の伝統的な刺繍から、職人の超絶技巧が光る作品まで、見どころが盛りだくさん。
柄に込められた意味や多彩な技法などを知れば知るほど、刺繍の奥深い世界に引き込まれました。
そして、べた妻がこよなく愛する東南アジアの山岳民族の衣装も展示されていて、心躍りました!
いつもは民族衣装全体のデザインや色彩に目が向きがちですが、刺繍に注目することで、衣装の見方も変わります。
まさに、べた妻にとって、どストライクな展覧会でした!
文化学園服飾博物館が2026年8月に出版した『世界の刺繍図鑑』は、本展覧会の図録にもなっています。
事前に予習してから訪れるもよし、鑑賞後に復習するもよし。展覧会と合わせて楽しめる一冊です。
刺繍が好きな方はもちろん、着物が好きな方、旅行が好きな方、かわいいものにときめきたい方にもおすすめです。
本記事では、展覧会『世界の刺繍をめぐる旅』を実際に訪れて感じた見どころや混雑状況、所要時間、バリアフリー情報などを、べた妻の視点で紹介します。
他の開催中の展覧会、ファッションの記事、美術館・展覧会の記事、博物館・科学館の記事、障がい者割引の記事はこちら。
※トップ画像は、べた妻がタイのヤオ族から購入した『ヤオ刺し』
※作品の写真撮影は禁止。本記事では、以前に撮影した写真を使用しています。
※訪問前に文化学園服飾博物館公式サイトで最新の情報を確認してください。
※記事内の情報・価格は、訪問当時のものです。
※本記事は、べた妻の執筆(べたきち監修)でお送りします。


スカートとTシャツはモン族、上着はレンテン族
べた妻的見どころ
胸キュン!《花々が彩る東欧刺繍》
東欧の刺繍は、白地や黒地に色鮮やかな花々が咲き誇るデザインが多く、可愛らしさに心がときめきます。
中でも、特に目を引いたのが『ポーランドの刺繍』!
実は、べた妻は以前、ひとり旅でポーランドを訪れたことがあります。

2019年ポーランドの『ザリピエ村』にてべた妻撮影


残念ながら、民族衣装を見る機会はありませんでしたが、鮮やかな花柄のペイントで家の壁面や家具が彩られた『ザリピエ村』を思い出しました!
刺繍で服を彩り、ペイントで家や家具を彩る。
身の回りを美しく飾り、暮らしを楽しむ工夫がとても素敵だと思いました。
ドレスには負けない!《ロココ時代の超絶技巧》

2025年『LOVEファッション展』にて撮影

『アビ・ア・ラ・フランセーズ』は、18世紀フランスのロココ時代に、上流階級の男性が着用した正装。(詳細は『LOVEファッション展(関連記事)』を参照)
べた妻の愛読書『傾国の仕立て屋ベルタン』や、先日訪れた『マリー・アントワネット展(関連記事)』で、すっかりロココ時代の服装にどっぷり浸かっているため、注目せずにはいられません!
『マリー・アントワネット展』では、女性の華やかなドレスに目が向きがちですが、今回は男性の正装をじっくり鑑賞できるのも見どころの一つ。
特に目を奪われたのが、ボタンやポケット周りに施された刺繍です。
植物が瑞々しく生い茂る様子が、細やかな針仕事によって見事に表現されています。
ロココ時代ならではの華やかな装飾美と、職人の超絶技巧に目を奪われました。

絹糸の光沢にうっとり!《日本の刺繍が生み出す美》
1階には、日本の衣装のみが展示。煌びやかで、多彩な技法が凝らされた着物が並びます。
海外の刺繍も大好きなべた妻ですが、日本の刺繍にも心を奪われます。
光沢のある絹糸や金糸がきらきらと輝き、緻密な技法によって生み出される美しさ。
見れば見るほど、日本の手仕事の素晴らしさに魅了され、日本人として誇らしくなります。
特に見入ってしまったのが、武士の陣羽織に施された『孔雀の羽の刺繍』。
ゆらゆらと波打つ羽の動きまで表現されていて、その繊細な技に見とれてしまいました。
また、着物の柄では、鶴などのおめでたいモチーフをよく見かけますが、今回、意外にも目に留まったのがスズメ。
身近な鳥が豪華な着物の柄になっているのが新鮮でした。(関連記事:『特別展「鳥」』)

おめでたい柄がいっぱい!

そして、べた妻にとって思い入れのある刺繍が、『相良(さがら)刺繍』。
『相良刺繍』とは、糸を結んで小さな玉をつくり模様を表現する、ぷつぷつとした独特の立体感が魅力的な技法です。
べた妻は自身の結婚式で白無垢と打掛を着用しました。
日本人として一度は着てみたいという憧れもあり、打掛は自分へのお祝いとして、『相良刺繍』がふんだんに施されたものを選びました。
そんな思い入れのある『相良刺繍』を、展示された着物の中にも見つけ、とてもうれしくなりました。ついつい時間をかけて、じっくりと見とれてしまいました。
こちらは、べた妻が結婚式で着用した打掛。お気に入りの相良刺繍が、ふんだんに施されています。

心ときめく!《ガーリーなモン族の民族衣装》

2016年ベトナムの『サパ』にて撮影
展示されていたのは、ベトナム北部の山岳地帯に暮らす『モン族の衣装』。
べた妻がこよなく愛する東南アジアの山岳民族の一つです。
袖や襟、前掛けには、クロスステッチがふんだんにあしらわれ、スカートには、ふわっとボリュームがたっぷり。
刺繍にろうけつ染め、アップリケなど、さまざまな技法が詰め込まれた衣装には、モン族の素晴らしい手仕事と、思わずときめいてしまう可愛らしさがあふれています。
べた妻は以前、ベトナム北部の街「サパ」を訪れ、実際にこのような衣装をまとった人々を目の当たりにしました。
色鮮やかな民族衣装をまとった人々の姿に、心が躍りました。
民族衣装が日々の暮らしに自然に溶け込み、大切に着続けられている姿にも、胸を打たれました。
こうした愛らしい衣装と、そこに込められた手仕事の技術や文化が、これからも大切に受け継がれてほしいと思います。
驚きの手仕事!《裏も表も美しいヤオ族の刺繍》

2015年タイの『チェンマイ』にて撮影

こっちが表!


2016年ラオスの『ムアンシン』にて撮影
べた妻が敬愛する『ヤオ族』。
その刺繍技法の一つである『ヤオ刺し』は、布の裏と表の区別がつかないほど精巧な刺繍として知られています。
一般的なクロスステッチが、2本の斜めの針目で「×(エックス)」を作るのに対し、ヤオ刺しは4本の針目で「+(プラス)」を作るのが特徴です。
針目の構造そのものに違いがあるんです。
裏側まで美しく仕上げるには、細かな針仕事と相当な根気が必要なはず!
パンツの大部分を『ヤオ刺し』で埋め尽くす、なんとも贅沢な衣装です。
2016年にラオスを訪れた際、ヤオ族の刺繍の美しさに目が釘付けになったことは、今でも忘れられません。
こうした衣装を日常的に身にまとっている姿に、伝統が暮らしの中に根付いていることを実感し、感激しました。
しかし、2016年に訪れた際には目にすることができた民族衣装姿も、2025年の訪問では見かけることがありませんでした。
時代とともに移り変わっていく伝統。だからこそ、受け継がれてきた技術や文化を大切にしていきたいと、改めて感じました。
こちらの『ラオス関連の記事』もぜひご覧ください。

障がい者割引・バリアフリー情報など
障がい者割引・車いすの貸出・バリアフリー情報などについては、過去の展覧会の記事『あつまれ!動物の模様展』、『どうしてなんだか似てる服展』の項目をご確認ください。

所要時間・混雑状況
土曜日の13時30分頃に入館し、14時45分までの約1時間15分間かけて観覧しました。
以前訪れた過去の展覧会よりも、多くの人で賑わっている印象でした。
「ぐるっとパス」の利用者も多く、秋のお出かけ日和だったことも影響していたのかもしれません。
女性の来館者が多く、中には服飾を学んでいると思われる方が、スケッチやメモを取りながら鑑賞していました。
とはいえ、車いすでも十分に鑑賞しやすい程度の混み具合でした。
最後に
今回の展覧会では、刺繍の技法の素晴らしさに加え、一針一針、丁寧に時間をかけて作品を完成させた作り手の温かな想いまで、垣間見えたように思います。
刺繍は、眺めたり、身につけたりするだけで、気持ちが柔らかくなったり、自分に自信が持てたり。
べた妻にとって、暮らしの中のちょっとした原動力になる、特別な力を持っています。
そんな刺繍の魅力に改めて触れ、久々に自分でも刺繍をしてみたくなりました。
まだまだいっぱい見どころはあるので、ぜひ現地で個人的見どころを発見してください!
ぜひ他のファッションの記事、美術館・展覧会の記事、博物館・科学館の記事、障がい者割引の記事もご覧ください。
開催情報
| 名称 | 『世界の刺繍をめぐる旅』 |
| 会期 | 2026年9月24日(木)~11月21日(土) |
| 休館日 | 日曜日、祝日、11月4日(水)~6日(金) ※11月1日(日)、3日(火・祝)は開館 |
| 開館時間 | 月~金曜日 10:00~16:30 土曜日 10:00~15:00 ※入館は閉館の30分前まで ※11月1日(日)、3日(火・祝)は16:30まで開館 |
| 入館料 | 一般 1,000円(団体800円) 学生(中学生・高校生・大学生) 500円(団体400円) 小学生以下 無料 ※団体料金は20名以上。 ※障がい者とその付添者1名は無料。 |
| 会場 | 文化学園服飾博物館 東京都渋谷区代々木3-22-7 新宿文化クイントビル1階 |
| 公式URL | https://museum.bunka.ac.jp/exhibition/ |
最後までお読みいただきありがとうございました。ソークディー!
※参考文献・サイト
- 文化学園服飾博物館 (2026)「世界の刺繍図鑑」ラトルズ
- アン・ヤーウッド・ゴールドマン著、坂口里香訳 (2011)「ヤオ族の刺しゅう 文様に込められた祈りと移住の物語」文芸社









