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べたきち
四肢麻痺の身体障がい者で手帳保持のアラフォー。
30歳でギラン・バレー症候群、脊髄炎を発症、さらに再発し病名が指定難病CIDPに変更される。
元理科教員であり、興味関心の幅広め。
毎週末、妻と博物館や映画へ繰り出す。
東京在住で谷根千、上野近辺によく出没する。
難病障がい者がアクティブ活動に役立つ情報を発信します!

【体験記】まるでSF!企画展『量子の世紀』科博│混雑状況、所要時間、見どころなど

3つの量子ビットの組み合わせを模した装置
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2025年10月21日(火)、上野の国立科学博物館で11月30日(日)まで開催予定の企画展『量子の世紀』に行ってきました。

20世紀初頭に築かれた現代物理学の二本柱──それが『相対性理論』『量子力学』です。

『相対性理論』は、20世紀最高の天才物理学者・アインシュタインが、ほぼ1人で作り上げたとされています。

一方、本展の主題である『量子力学』は、多くの科学者たちの研究の積み重ねによって発展していきました。

本展は、2025年がユネスコにより「国際量子科学技術年」に制定されたことを記念し、量子の謎に挑んだ先人たちの知的な挑戦と探求の歴史を振り返るとともに、今後の『量子テクノロジー』の展望を紹介する内容になっています。

簡単に言えば、『量子力学』とは、原子や素粒子といった、とても小さなミクロ(ナノ)の世界を扱う物理理論です。

『量子』とは、物質やエネルギーを最も小さな単位でとらえたときの“最小のかたまり”のこと。

粒のようでありながら波のようにもふるまうという、とても不思議な性質を持っています。

元理科教員のべたきちは、ここ10年ほど、この量子の奇妙な世界にすっかり魅せられ、少しずつ学んできました。

ですが、学べば学ぶほど、その不思議さに迷い込むような気分になっていきます。

そんな『量子の世界』をめぐる名言の中で、私が特に好きな言葉が、パンフレットにも紹介されていました。

量子力学を理解している人は誰もいないといって良いでしょう

リチャード・ファインマン

引用:企画展『量子の世紀』パンフレット

1965年に量子力学の発展の功績によりノーベル物理学賞を受賞した天才ファインマンですら、理解しきれないというのです!

理科や物理に苦手意識がある方も、気軽に“物知り顔”で楽しめば大丈夫。

きっと観覧後には、世界の見え方が変わっているはずです。

べたきちは、ハイゼンベルクやアインシュタイン、シュレディンガーなど科学界の大スターの論文を初めて見ることができて、うれしかったです。

科学が好きな方や学生さんはもちろん、世界の成り立ちに興味のある方哲学的思索を好む方、新しい知識を楽しみたい方にもおすすめの展覧会です。

他のミュージアムの記事上野の記事谷根千の記事障がい者割引の記事はこちら。

ちなみに、べたきちは最初に「量子論を楽しむ本」で勉強を始めました。観覧前、後に読むと理解がさらに進みます!

※トップ画像は、3つの「量子ビット」の組み合わせを模した装置。

※素粒子:これ以上分けられない最も基本的な粒子。例:電子、陽子を構成するクォーク、ニュートリノなど。

※写真撮影可能フラッシュの使⽤、⾃撮り棒、三脚等の撮影補助機材の使⽤は禁止。

※訪問前に国立科学博物館公式サイトで最新の情報を確認してください。

※記事内の情報・記事内の価格は、訪問当時のものです。

本企画展の看板 名言がいっぱい
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料金・障がい者割引など

一般・大学生は630円、高校生以下は無料。

本企画展は、常設展示の入館料のみで観覧可能です。

料金・障がい者割引・車いす貸出の詳細については、同日に訪れた企画展『学習マンガのひみつ』の記事内の「料金・障がい者割引など」の項目をご覧ください。

混雑状況・所要時間など

説明に見入る人々 通路幅は車いすでも通れる
説明に見入る人々 通路幅は車いすでも通れる

混雑状況

企画展『学習マンガのひみつ』を観覧した後、15時05分頃に本企画展の会場である地球館2階へ向かいました。

この日は、これまで訪れた平日の中でもかなり空いており、スタッフの方によると、たまたま団体予約が少なかったそうです。

開催初日ということもあり、物理を専攻していそうな学生さんたちが熱心に展示へ見入っていましたが、混雑で動きづらいということは全くありませんでした。

車いすでも快適に観覧できる落ち着いた環境でした。

所要時間

混雑していない状況下で、15時05分から15時45分までの約40分かけて観覧しました。

本当はもう少しじっくり見たかったのですが、『学習マンガのひみつ』とのはしごで、さすがに体力が持たなくなってしまいました(べたきちの病状についてはプロフィール参照)。

物理が好きな方、解説文を丁寧に読みたい方は、もう少し時間に余裕をもって訪れるのがおすすめです。

バリアフリー情報

会場である地球館2階常設展示室は、通路幅が広く、全体的に段差のないバリアフリー設計になっていました。

空いていたこともあり、車いすが他の方にぶつかるような心配もありませんでした。

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べたきち的見どころ

日本の量子力学研究の源流!《仁科芳雄》

仁科芳雄、杉浦義勝、天野清らの写真
仁科芳雄、杉浦義勝、天野清らの写真
仁科芳雄とその研究室の展示
仁科芳雄とその研究室
仁科芳雄の「クライン=仁科の式」についての手稿

量子力学の発展には、多くの日本人研究者も深く関わっており、その成果が本展でも数多く紹介されていました。

なかでも特に注目したいのが、量子物理学の先駆者・仁科芳雄(にしな よしお、1890〜1951年)です。『日本の現代物理学の父』と称される偉人でもあります。

仁科は、ニールス・ボーアのもとで研究し、帰国後には日本初のサイクロトロン(粒子加速器)を建設。これにより、戦前の日本における原子核研究を一気に世界水準へと押し上げました。

さらに、後進の育成にも大きく貢献し、門下生には、1949年に日本人初のノーベル物理学賞を受賞した湯川秀樹(1907〜1981年)、1965年ノーベル物理学賞の朝永振一郎(ともなが しんいちろう、1906〜1979年)など、著名な研究者が名を連ねています。

仁科は、日本の現代物理学の礎を築いた「育ての親」といえる存在であり、もし彼がいなければ、現在の素粒子研究や宇宙の成り立ちを探る研究は違った姿になっていたことでしょう。

べたきちは物理の専門的な研究については詳しくありませんが、それでも、同じ日本人として胸が熱くなる展示でした。

※ニールス・ボーア(1885〜1962年):量子力学の基礎を築いたデンマークの物理学者。原子の構造を説明する「ボーア模型」を提案した。1922年ノーベル物理学賞。

電子が飛び飛びの軌道に存在するボーアの模型
電子が飛び飛びの軌道に存在するボーアの模型 中学高校でも習うね!
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観察とは!?《シュレディンガーの猫》

『シュレディンガーの猫』について書かれた論文(1935年)
『シュレディンガーの猫』について書かれた論文
激ムズ!(1935年)
撮影して観測すると猫の居場所が1つに確定することを体験できるモニター
撮影して観測すると猫の居場所が1つに確定する

『シュレディンガーの猫』は、量子力学の“観測するまで状態が確定しない”という不思議な性質を示すために考えられた、有名な思考実験です。

量子の世界では、粒子は観測されるまで、複数の状態が同時に重なって存在できると考えられています(重ね合わせ状態)

この“常識では考えにくい性質”を際立たせるために用いられるのが、この猫の実験です。

本展では、オリジナルの実験を少しアレンジし、部屋の中を高速で動き回る猫(=重ね合わせ状態)として表現されていました。

その猫をスマートフォンなどで撮影し“観測する”ことで、初めて猫の状態(=居場所)が確定する、という仕組みになっています。

初めて聞くと「!?⋯」となりますよね。大丈夫、みんなそうです(もちろん、べたきちも)。

“ 観測って何?重ね合わせって何?”という素朴な疑問が、量子力学の深い沼へ引きずり込んでいきます。

この『シュレディンガーの猫』は、多くの人を魅了し続けており、今もさまざまな解釈や説明が試みられています。

とても面白いテーマなので、興味が湧いた方はぜひ調べてみてください。

今回、べたきちは初めて、実際にこの思考実験が掲載された論文の現物を見ることができて、とても感動しました。

ちなみにこの『猫』は世界的に人気があり、Tシャツなど数々のグッズになっています。

身につけていると、ちょっとドヤ顔できるかもしれません(笑)。

※エルヴィン・シュレディンガー(1887〜1961年):波動方程式を提唱し、粒子を“波”としても説明できることを示したオーストリア出身の物理学者。1933年ノーベル物理学賞。

アインシュタインですら疑う!《『量子もつれ』の不思議》

通称「EPR論文」(1935年)
通称「EPR論文」(1935年)
アインシュタインの肖像
来日したアインシュタイン
アインシュタインの疑問だった量子もつれについての展示
アインシュタインは量子力学に懐疑的だった!

先述した通り、アルベルト・アインシュタインといえば、『相対性理論』を築いたことで知られる現代物理学の巨人。

さらに、光が粒としてふるまうことを示した『光量子仮説』を提唱し、量子力学の発展にも大きく貢献しました。

しかし一方で、「観測するまで状態は決まらない」という量子力学の確率的な性質には、生涯懐疑的でした。

有名な言葉「神はサイコロを振らない」も、この考えから生まれたものです。

そしてアインシュタインが特に受け入れられなかったのが、“不気味な遠隔作用”と呼んだ『量子もつれ』という現象です。

『量子もつれ』とは、2つ以上の粒子が強く結びつき、一方の状態が決まると、離れていてももう一方の状態が同時に決まるという、不思議なつながりを示すものです。

距離に関係なく作用するため、もし本当なら「この世で最も速いものは光速」という『相対性理論』に反することになってしまいます。

はたして、量子の世界観は正しいのか? それともアインシュタインが正しいのか?

その後の理論と実験の積み重ねにより、『量子もつれ』が実在することが確かめられました(2022年のノーベル物理学賞もその成果によるもの)。

どうやら、この点についてアインシュタインの予想が外れていたようなのです。

私たちは、アインシュタインですら疑った“不思議な世界”に生きているのだと思うと、なんだかワクワクしてきます。

※アルベルト・アインシュタイン(1879〜1955年):映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」に登場するエメット・ブラウン博士のモデルとされる人物。光量子仮説の功績により1921年ノーベル物理学賞受賞。

「量子もつれ」体験もできるモニター
「量子もつれ」体験もできる
量子もつれの説明と猫
ここにも「猫」が登場

干渉縞が見えた!《二重スリット実験》

「二重スリット実験」を模した装置
「二重スリット実験」を模した装置
右側には「干渉縞」がうっすら見える
感動した!

※11月18日(火)再訪&追記

『二重スリット実験』とは、光が「粒であり、同時に波でもある」という量子特有のふるまいを示す、とても有名な実験です。

量子力学の本には必ず登場する、代表的で奥深い現象です。

前回の10月21日(火)の訪問時には、干渉縞をうまく確認できなかったのですが、今回は解説が追加されており、はっきりと干渉縞を見ることができました。

うれしくて、つい写真を撮りまくってしまいました!

最後に

『量子力学』が映し出す世界は難解でも、その不思議さに触れるだけで心が動きます。

展示を通して、日本の研究者たちが積み重ねてきた歩みや情熱にも触れられ、科学の奥深さをあらためて感じました。

専門外のべたきちでも「もっと知りたい」と素直に思えた時間でした。これからの研究や『量子テクノロジー』の発展にも、引き続き注目していきたいです。

興味のある方は、ぜひ会場で体験してみてください。きっと新しい世界観がそっと開くはずです。

まだまだいっぱい見どころはあるので、ぜひ現地で個人的見どころを発見してください!

最後に、『量子力学』の巨人・ニールス・ボーアの言葉を添えて締めくくります。

量子論に出会って衝撃を受けないようであれば、それを理解しているとは到底言えません

ニールス・ボーア

引用:企画展『量子の世紀』

また、ぜひ他のミュージアムの記事上野の記事谷根千の記事障がい者割引の記事もご覧ください。

開催情報

名称『量子の世紀』
会期2025年10月21日(火)〜11月30日(日)
休館日11月10日(月)、11月17日(月)、11月25日(火)
開館時間9時~17時(入館は16時30分まで)
入館料
※当日券
一般・大学生:630円
常設展示入館料のみで観覧可能
高校生以下および65歳以上は無料
※障害者手帳をお持ちの方とその介護者1名は無料
※学生証、各種証明書を入場の際に提示してください
会場国立科学博物館
地球館2階常設展示室内
東京都台東区上野公園7-20
公式URLhttps://www.kahaku.go.jp/

最後までお読みいただきありがとうございました。ソークディー!

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3つの量子ビットの組み合わせを模した装置

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