2024/12/21(土)、東京ミッドタウン日比谷のTOHOシネマズで映画『ライオン・キング:ムファサ』日本語吹替版を鑑賞してきました。
超実写と銘打っているだけあって、圧倒的な映像美、特に自然の風景の美しさに引き込まれました。
それらを大画面で見るだけでも、映画館に足を運ぶ価値は十分にあると思います。
しかし、ストーリーとしてはあまり納得いきませんでした。
そのため評価としては、☆3.0/5です(辛口ですいません)。理由は後述します。
ディズニーの『ライオン・キング』が好きな方はもちろんのこと、冬休みのお子さま連れやデートにおすすめです。
スカーと呼ばれるようになった由来、ザズー、ラフィキとの出会いを知ることができ、古参ファンはもちろん必見です。
少し映画情報
『「ライオン・キング」始まりの物語』とポスターにあるように、ムファサとタカ(スカー)との出会いから、タカがなぜスカーと呼ばれるようになったかまでを描き出します。
キャッチコピーは『ディズニー史上最も温かく切ない“兄弟の絆”の物語』。
声優には、ムファサ役に歌舞伎役者の尾上右近さん、タカ(スカー)役にTravis Japanの松田元太さん、本作の悪役キロス役にハリウッド俳優の渡辺謙さん、後のシンバの母サラビ役にミュージカル俳優MARIA-Eさん、他豪華キャスト。
詳細は公式サイトへどうぞ。
前提知識としては、1994年公開のディズニーアニメ『ライオン・キング』を知っていれば問題ありません。
2019年公開の超実写『ライオン・キング』は視聴していなくても十分に楽しめると思います。
むしろ個人的には、本作を鑑賞後に2019年版『ライオン・キング』を見ることをおすすめします。
スカーに対しての想いが、以前から変化していることに気付くのではないでしょうか。
2019年版『ライオン・キング』はディズニープラスで視聴可能です。
地上波では、2025/1/3 (金) 夜9:00から日本テレビ系の金曜ロードショー (一部地域を除く)で放送されるので必見です!
料金・混雑具合
障がい者割引 1,000円×2(通常は2,000円)
前週の映画『はたらく細胞』と同様に、TCXという座席数400以上の大型スクリーンで鑑賞しましたが、ほぼ満席でした。
また、15時00分からの回でしたが、お子さん連れは少なく大半は大人、特にデートの方が多い印象でした。
これは日比谷という立地に起因するのかも知れません。
べたきち的見どころ・感想(ネタバレあり
)圧倒的な自然の美しさ
序盤でも述べたように、とにかく自然風景の映像美が圧倒的でした!
サバンナ、河、花畑、雪山などのアフリカの美しい風景が、実写を超えた迫力で表現されています。
百聞は一見にしかず。ぜひ、映画館の大画面で体感してみてください。
映像に圧倒されている間に、すぐ2時間が経ってしまいます。
ザズー、ラフィキとの出会い、スカーの名の由来
『ライオン・キング』の主要キャラであるザズー(サイチョウ)やラフィキ(マンドリル)との出会いがしっかりと描かれていたことは、べたきち(古参ファン)にとって胸熱展開でした。
特に、幼鳥のザズーの姿はとてもかわいいので必見です。
「朝の報告です 朝です!」 が個人的にはツボでした(笑)
また終盤では、タカがなぜスカー(傷の意味)と呼ばれるようになったかがついに明かされます。
ただ、ここについてはもっと丁寧に描写してもらいたかったと強く思います。
とても重要な部分であるのに対して、あっさりし過ぎて少し拍子抜けしました。
この点は少し残念でした。
声優陣に迫力 特に渡辺謙さん
今回、映像をしっかりと見るため、日本語吹替版を選択しましたが、大正解でした。
正直言って、鑑賞前は主役のお2人が本職の声優ではないことは知っており、不安がありました。
しかし、それは完全に杞憂に終わりました。
また、本作の悪役のキロス役の渡辺謙さんの迫力満点の演技はさすがでした!
べたきち夫婦は、渡辺謙さんだとは知らず鑑賞しており、エンドロールで驚かされました。
タカ(スカー)視点だとやるせない物語…
べたきちはディズニーアニメの『ライオン・キング』(1994)を、子どもの頃から何度も見て親しんできています。
2019年公開の映画『ライオン・キング』も映画館に見に行きました。
本作はディズニー映画でありファンタジーであること、タカ(スカー)は悪役として存在することは、十分理解しています。
しかし、私にはムファサ視点の温かく切ない兄弟の物語として見ることができませんでした。
ムファサよりもタカ(スカー)に感情移入して、同情してしまったのです。
タカは孤児のムファサを温かく迎えてあげ、先にサラビに恋をしていたのに…。
恋に敗れたにも関わらず、その後も同じプライドランドの中で生活するなんて、あまりにも辛すぎる!
スカーとなった後は、プライドランドを出ていくと良かったのにな、とつい考えてしまいます。
スカーの、ムファサを完全に裏切ることはできない中途半端なお人好し具合に、かえって人間味を感じてしまいました。
また、何でもできる完璧なムファサとは異なり、悩み嫉妬する姿には、なんだか親近感を覚えてしまいます。
スカーがディズニー映画の悪役の中で人気があるというのも、私は納得できます。
動物行動学的視点(蛇足です)
ここからは大学院まで、動物行動学を専攻してきたべたきちによる、ライオンの生態の少し学術的なお話です。
ディズニー映画には適さない全くの蛇足ですので、どうかご気分を害さないでください。m(_ _)m
本作によって、ムファサとスカーの間に全くの血縁関係がないことが明らかになりました。
この血縁関係は動物行動学的にとても重要です。
となると、映画『ライオン・キング』においてスカーがムファサを殺すことの意味合いが全く変わってきてしまいます。
ライオンのオスにおいて、繁殖に参加して子孫を残せるのは、プライドという集団を維持している間のみです。
そのため、ライオンのオスは命がけで自らのプライドを守るために戦います。
プライドの乗っ取りに成功したオスは、そこにいる血縁関係のない子ライオンを殺します。
母ライオンを繁殖可能なメスライオンにするためです。
これが有名な「ライオンの子殺し」です。
このオスライオンの生態と照らし合わせると、スカーは血縁関係のないムファサを殺し、シンバを殺そうとするのは至極当然のことなのです。
むしろスカーは、やっと繁殖のチャンスを得た苦労人なのです!(このようなこともあり、つい私はスカーの味方になってしまいます…)
このような動物行動学的に視点で見てみるのも、一味違っておもしろいですね。
動物学的視点を手に入れるなら『動物のひみつ』(アシュリー・ウォード著、夏目大訳)がおすすめです。
ライオンについての記述もありますよ!専門知識はなくても楽しく動物の生態を学べます。
736ページと超分厚いですが、少しずつ読んでいけばオッケー。
知的好奇心の強い方、ぜひ手にとってみてください。
生き物好きなお子さまへのギフトにも最適ですよ!
また、もしよかったら映画『グラディエーターⅡ』、『はたらく細胞』のレビューも御覧ください。
最後までお読みいただきありがとうございました。ソークディー!